今回は、長濱蒸留所の”アマハガン ワールドモルト エディション ピーテッド”です。入手の経緯は、約1年前に購入した、リカーマウンテン(リカマン)のウイスキーくじでした。
正直、響や竹鶴の年数表記モノが入っていることを期待して購入したので、出てきた瞬間は「あぁ」という感じでした。ただ、飲んでみるととても美味しい。
ウイスキーくじは、面白いのですが中身が希望するものでは無かった時の事を考えると、購入を躊躇してしまいます。その不安?を払拭すべく、この記事を投稿します。
商品の説明・特徴
公式サイトはこちらより。
まず、そもそもAMAHAGANについて。
アマハガンのエディションNO.1には
”2016年の蒸留開始から2年。将来のシングルモルトのリリースに向けウイスキー造りにとって最も重要な工程である「ブレンド」に焦点を当て、生み出されたブレンデッドモルトシリーズ『AMAHAGAN』”
とあります。そして、今回のアマハガン ワールドモルト エディション ピーテッドは
”長濱蒸溜所のモルト原酒に、海外産のピートモルト原酒とノンピートモルト原酒を絶妙にブレンド。その一部をバーボン樽で追加熟成することで、スモーキーな風味に加えて華やかなアロマをまとった、複雑で飲みごたえある味わいを実現しました。”
とのことです。
まとめると、アマハガンとは自社原酒と海外原酒のブレンデッドモルトシリーズ。今回飲んだのは、そのピートタイプ。
個人的にピーティなウイスキーは好みなので良かったのですが、残念ながらピート成分は自社原酒ではないようです。個人的には、これだけ味わい深いピート原酒はどこの蒸留所なのだろうか?というのも気になりました。
アルコール度数は47%。ノンチルフィルタード・無着色です。拘りを感じるスペックになっています。
価格と入手性
価格
本記事作成(2025.03)時点では、税込で6,600円前後です。グレーンが入っていないブレンデッドモルトですが、それを差し引いても安いとは言えない価格帯です。
実売価格ベースであれば、同じ値段でジョニーウォーカーグリーンが購入可能です。ニッカのセッションであれば、もう幾らか足せば2本購入できるでしょう。
入手性
近所のスーパーでは当然売っていません。自宅近所のやまや、百貨店の店頭でも見かけた事はありません。
ただ、リカーマウンテン(リカマン)が長濱蒸留所の親会社にあることから、リカーマウンテンの店頭では原則購入出来ると思われます。筆者は関西圏のリカマン店舗にしか行ったことがありませんが、ほぼ置いてあった印象です。
また、長濱蒸留所の公式サイトでもネット通販をやっていますので、そちらからでも購入可能です。
店頭で遭遇するには特定の店に行く必要がありますが、自社サイトで購入できます。それを考えれば、入手性は十分良好と言えます。
飲んでみた感想・美味しかった飲み方
ストレート

香りは、燻製ベーコンのような焦げた香りがメインで、そこに潮っぽい香りが同居してるイメージ。ラフロイグほど強烈ではありませんが、ヨードの香りも僅かに感じます。トーストやビスケットのようなニュアンスもあります。
味。僅かなヨード味を含んだ潮っぽい味が最初に来て、途中塩キャラメルのような甘い味に変化しました。パイナップルのようなフルーティーさもありながら、後半はスモーキーさが口を支配する感じ。
ただ、そこまでピートがきついとは感じません。甘さと塩っぽさが違うので比較は出来ませんが、シングルモルト余市と同じくらいのピート感でしょうか。
口当たりも滑らかで、とても美味しいと思います。
ロック

冷やすと、ストレートの時よりも甘みが抑えられ、相対的にヨードっぽい癖や塩っぽさを強く感じるようになりました。甘みも、キャラメルよりはバニラのような味わい。
ラフロイグが好きな人には強度が足りないかもしれませんが、味の方向性は似ていると思います。ラフロイグはキツすぎるけど、これなら飲めるっていう人もいるかもしれません。
ハイボール

塩っぽさは大幅に無くなり、ヨード感と燻製感が僅かに残ったようなイメージです。味わいは、甘味は殆ど感じず、かなりスッキリした味わいになりました。
ステーキや焼き肉のような味の濃くて脂っぽい食事と合わせると、口の中を一気にリフレッシュしてくれそうな印象です。スモーキーさも抑えられているので、天ぷらやお寿司と合わせても美味しそうです。食後のデザートハイボールではなく、食中酒に向いていると思います。
若しくは、夏のビール代わりにも良いかもしれません。ハイボールの満足度は高いと思います。
美味しかった飲み方
- ストレート
- ハイボール
- ロック
ランクづけは迷いました。便宜上順位をつけましたが、ストレートとハイボールは僅差です。ストレートは口当たりの滑らかさと味のバランスが素晴らしく、ハイボールは、良い意味で黒子に徹する味のシンプルさが凄く良かったです。
ロックは、良くも悪くも特徴が出たかな?と感じました。決して美味しくないという訳ではないのですが(むしろ美味しい)、ストレートとハイボールが秀逸だったので相対的にロックが3番目となりました。配点でいえば、90-88-80くらいの感覚です。
ブランディングにはやや疑問あり
「税込6,600円のボトルでありながら中身が良く分からないというのは、正直どうかな?」というのが、申し訳ありませんが率直な感想です。
前述したとおり、「美味しいか美味しくないか」で言えば間違いなく「美味しい」です。ここは、改めて明確に記載したいと思います。
その上で、「海外原酒と自社原酒の比率が分からない製品に税込6,600円を払いたいか?」と言われると、これは正直微妙。そんな事は無いと信じたいですが、自社原酒が数滴入っていれば商品説明の
”長濱蒸溜所のモルト原酒に、海外産のピートモルト原酒とノンピートモルト原酒を絶妙にブレンド。その一部をバーボン樽で追加熟成することで、…”
という文言は成立してします。肌感覚的には限りなく黒ですが、「嘘」では無いからです。勿論、長濱蒸留所がそのような詐欺紛いの事はしていないと信じていますが。
ただ、海外から輸入したウイスキーに日本語のラベルを貼り付けて「ジャパニーズウイスキー風」にして売られている製品がゴロゴロある現状、100%自社原酒の製品以外信じられなくなってしまうのも、また事実です。長濱蒸留所が云々というよりは、そのような業界の不透明性があるのでこのボトルも信用できなくなってしまっているのかもしれません。
筆者は、海外原酒を使う製品を否定するスタンスではありません。ウイスキーを作って売るためには、どんなに短くとも3年以上の時間が必要です。蒸留してから3年後に、美味しいウイスキーになっているかも分かりません。もっと熟成が必要かもしれませんし、熟成樽を途中で変える必要になることもあると思います。
その間、事業を維持継続できなければ、全く意味がありません。熟成中も、場所代や熟成庫の維持管理等様々な費用が発生します。自社原酒を熟成している間に、輸入原酒も使いながら売り上げを上げていく事は、会社として必要な事だと思います。
一方で消費者目線から見た時、税込み6,600円のウイスキーは決して安いボトルではありません。(売っていれば、ですが)1,000円追加すれば、サントリーのシングルモルト山崎が買えます。スコッチであれば、12年表記のシングルモルトを購入しても、お釣りが来る金額です。
これらの製品と比較した時、それでも手持ちの6,600円をこのボトルに使いたいか?と問われると、個人的には「それならボウモア12年やジョニーウォーカー15年を買います」ってなるかな?と思いました。
その点で、アマハガンは様々なアーティストやアニメ・ゲームとのコラボボトルをリリースしています。これは良い案だなと感じました。コレクターズアイテムになるのが素晴らしいです。
また、現時点ではウイスキーの事は知らないけれど、コラボをする事で新たにウイスキーに興味をもつ人を作る可能性がある点も、非常によい仕掛けだと思います。
まとめ
ウイスキーに対して、良い意味で拘りが無い人には非常に良い製品だと思います。ピートが苦手な人は厳しいと思いますが、口当たりが良く味も個性がありました。
価格的にはウイスキーくじであれば末吉に近いランクの製品になると思いますが、仮にこれが末吉のクジであれば私は購入したいなと感じました。
また、長濱蒸留所は蒸留所見学その他様々なイベントをされていらっしゃいます。先日は車で立ち寄ったので試飲やレストラン利用は出来なかったのですが、是非蒸留所見学も含めてじっくり行ってみたい蒸留所です。


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